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2007年10月13日 (土)

転機

私に転機が訪れた。大学二年生の冬だった。

大学の講義でビデオを見る機会があった。

とある映画。最初はぼーっと見ていた。

しかし、映し出されたスライドを見て私は衝撃を受けたのだ。

それはこんなシーンだった。

薬物中毒により、「私は監視されている」と叫び暴れる人。

外側から見ればおかしな行動。内側からは物凄く危機迫っ

た状況。映画を見たときには、何だかわからないけれど

とにかく私は凄いものを見てしまった、という感覚だった。

それから二、三日、ずっと衝撃から抜け出せずにいた。

そしてその衝撃がはっきりとしたものに変わった。

「あれは私だ」

そう思った。勿論、私は薬物なんかに手を出してはいな

い。薬物を使用しないで同じ感覚に至るのは「統合失調

症」らしい。インターネットで検索をしてみると、症状は

幻聴や妄想とある。確かに私の統合失調症に対する知

識の中にも幻聴や妄想、とある。しかし、私に幻聴や妄

想はないと思っていた。だって私は確実に監視されてい

て、確実に悪口を噂されていて、確実に笑われていると

思っていたのだから。今まで私が監視されていたのは、

私がそう思っていただけで、実際はそうではないのかも

しれない。そういう視点を持つことができた。私はすごく

衝撃を受けた。私は病気だったのか。視線が突き刺さる

のは単なる視線恐怖ではないのか!そう考えていくと、

今までの「?」が「!」にみるみる変わっていく。私のずっ

と抱えてきたこのおかしさは全て統合失調症という病気

なのだ。誰にも理解されない、たった一人ぼっちの世界

感は、病気だったのだ。離人感や睡眠の質の悪さ、鬱

の気分、これらは全てこの病気と考えると納得した。

今まで「これは何なんだろう」と必死に模索してきたこと

が、たった一回の授業中に、明らかになった。点でしか

なかったものが全てつながった、という感じである。

納得し、「やっとわかった」感が私を埋め尽くした。

辛いのに、何がなんだかわからないというのは、物凄く

辛いことである。風邪なら風邪だ、とわかるから皆安心

して生きていけるのだ。もし風邪が何だかわからなかっ

たら、あのゾクゾクする感じや体調の悪さに怯えるだろう

。だからそういう意味で、すごく安心した、という感覚だっ

た。次に私を襲ったのは、私は精神障害者なのか!とい

うこと。それは認めたくないけれどやはり今までのおかし

さは否定できない。まだ病院に行く前の段階だったが

私はこの映画により、私のアレは妄想なのか?とかアレ

は幻聴というのだろうか、と思うことができるようになった

。その視線で見ると、今まで自分のおかしさを探ってきた

中では統合失調症が一番当てはまると思った。しかし、

私からすれば、今まで6年間ずっと付き合ってきて、闘っ

て悩んで苦しんできたものが「病気」だと突然言われても

どうもしっくりこない。それも含めて私だし、含めなかった

ら過去の自分はどこに行ってしまうのだろう。どこからが

病気で、どこからが私なのか、という境界をつけることは

無理だと思った。だから病気を受け入れる、というよりは

私の一部が病気だった、という言い方が適切なのかもし

れない。それが障害であるという意識は持てなかった。

それから、いろいろ考えた。私はどうするべきなのか。

それでまた選択肢。

1 保健なし自費負担投薬治療

2 保健あり投薬治療

3 ほっておく

親には知られたくなかった。だから保健なしでバイト代で

払って隠し通して治療することも考えた。しかしまあそれ

も限界がくるだろうと思った。ほっておいたら・・・頭がガン

ガンする感じやその他の様々な不都合は取れない。

すごく考えてここは2かな、と思った。それが一番適切かな

と。それでも実際に行動に移すのはかなり勇気がいった。

今は私が病気と思っているだけだけれど、病院に行ったら

病気の判を押されてしまうような気がした。そこがネックだ

った。更に私は幼い頃体が弱く、二度肺炎で入院経験を

持っており、病院は嫌なところ、というイメージが焼きつい

ていた。薬も大嫌いだった。しかし、ここで私が踏み切ら

なければ誰がやる?と思い直し、大学三年生になった

4月、私は以前カウンセリングで紹介されたクリニックに

電話をかけた。家でするとばれてしまうのが怖かったの

で学校の隅で一人でかけた。

予約が一杯で5月になるということだった。

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